有田焼の製作工程
有田焼の生産は型作りに始まり、生地作り、焼成、絵付けなど多くの工程を専門の 職人が担当する分業体制で成り立っています。
更に各工程でも専門分野が異なる職人達が大勢います。
皆様が手にする有田焼は、大勢の職人の手を渡っていろんな工程を経て作り上げられます。
生地作り
陶土づくりに求められることは、安定した陶土をつくること。 1,300°Cで焼成した時に変形しない強度と、目に見えない鉄分や不純物を完全に取り除き、焼物の表面に黒い斑点等を発生させないこと。
白磁の命ともいえる磁肌の白さときめの細やかさは、こうした陶土づくりに 関わる職人たちの細心の手仕事に支えられています。
世界でも愛される美しい有田焼の品質秘密とは、素地はガラス質を多く含んだ陶石が原料で、砕いたその粉を練り合わせて焼いたものが 磁器と呼ばれています。
以前は有田の泉山でも採掘されていましたが、現在は熊本の天草で採掘されています。
天草陶石は粉砕・形成がしやすく、他の添加物が無くても均一に磁器焼成が出来ると言われています。
薄くて軽い、硬くて丈夫、しかも仕上がりの色が美しいのも特徴です。 白磁の美しさと磁肌の滑らかさが、最高のキャンバスとして写真や文字、絵柄を映えさせます。
有田町にある泉山磁石場(国指定史跡)
江戸時代初期の1616年、朝鮮人陶工 「李参平」により発見され、日本で初めて
陶磁器が誕生しました。
成形
石膏型を使った成形の様子
石膏型を使った成形の様子
ほとんどの窯元が石膏型を使った方法で 成形しています。 一部ろくろによる成形も行っています。
仕上げ
乾燥
陰干し、天日干しなどそれぞれに応じた乾燥を施します。
削り
乾燥した生地に削りを入れて仕上げを行います。縁や高台などの形を整えるための
大切な工程です。 『水拭き』・・・湿ったスポンジで、削った生地の表面を滑らかにします。磁器ならではの工程です。
水拭き
湿ったスポンジで、削った記事の表面を滑らかにします。磁器ならではの工程です。
- 天日干しの様子
焼成
素焼き
時間をかけて乾燥させた生地を、削りや水拭きなどの仕上げ処理を行ない、900°C前後で素焼き 焼成します。 素焼き後の素地は強度が増し吸水性を持つため、後工程の下絵付けや釉がけがしやすくなります。
- 焼成窯の外観
釉がけ
釉薬とは焼き物の表面を覆う薄いガラス質のことで、釉がけすることで磁器に光沢や色を呈す など美しくするだけでなく、汚れ防止や強度など磁器の性質を向上させます。
本焼き
1,300°Cで高温焼成します。12~24時間かけて焼き締め、割れないようにゆっくり
冷却し窯出しします。 本焼成後は生地が収縮して硬質に変化し透明性を持つようになります。この際に歪みや割れや 鉄粉の飛びなどを取り除き、次の工程に進めるものは約80%くらいになってしまいます。
上絵絵付け
本焼成後に絵付けする工程。 輪郭を描く線描き、濃(だ)み、転写などの技法で上絵付けを行ないます。 上絵には赤、黄、緑、黒、金、銀など多くの絵具を使います。 下絵付けとの組み合わせで、絵柄に奥行が出ます。
上絵焼成
絵具の定着をよくするために、860°C前後の低温度で焼き付けます。 上絵付けまで施して完成したものを、色絵や赤絵と呼び、染付けの上に上絵付けしたものを染錦と呼びます。